だれもが安心して暮らせる大分県条例をつくる会ニュースレター「わたしもあなたも」 2015年4月15日発行 第14号 だれもが安心して暮らせる大分県条例をつくる会 【連絡先】在宅障害者支援ネットワーク 大分市都町2丁目7−4 303号 TEL・FAX 097−513−2313 メール info@daremoga-oita.net ホームページ http://www.daremoga-oita.net 第1面 見出し 県の「条例素案」が提案されました 協議会で検討中―つくる会も意見を提出 本文  県議会の請願採択を受けて条例づくりをすすめている大分県は、 障がい福祉団体や関係団体(県医師会、県経営者協会、県私学協会、県商工会議所、県宅地建物取引業協会、県バス協会、大分放送)の代表16名で構成される検討協議会を設置し、12月3日に第1回 、2月24日に第2回の会議を開きました。第2回会議では、県が作成した「条例素案」が提案され意見交換が行われました。私たち条例をつくる会からも徳田靖之共同代表が、全般にわたって意見を述べました。県の「条例素案」の内容の紹介と評価について、徳田共同代表と平野共同代表がまとめた文章を掲載します。 見出し 大分県障害福祉課の条例素案について 徳田靖之 本文 1 県の条例検討会で公表された「大分県障がい者の差別解消を図るための条例素案」は、前文と本文28条から構成されています。 2 前文は、私たち「つくる会」が条例素案を作る際に、この条例の顔になるものと考えて、多くの当事者の方の「生の声」を盛り込んだものを作成したのですが、今回の県の素案の前文は、要領よくまとめられているものの、こうした「生の声」が取り上げられていません。別稿で平野さんが指摘しているとおり、これでは、どうして、このような条例を作ろうとする動きが始まったのか、どうしてこれ程多くの人たちが、この条例に明るい未来を見出して期待するに至ったのかということが理解されないのではないかと思います。 3 本文は、5つの章から構成されており、第1章の総則には、この条例の目的や定義、基本理念、更には県や県民の責務等が規定されています。  この内の定義に関しては、「自立」についての規定がないという点を除いて、私たちの素案とは、それ程の違いはないと言えるように思います。  しかしながら、基本理念に関しては、私たちの素案では7項目挙げていたのに対し、「親亡き後の問題」、性、恋愛、結婚、出産、子育ての部分や防災等が削られ、4項目に整理されています。  これらの削られた項目について、県の素案では、第4章県民に対する普及啓発の第27条に一括して次のように規定されています。  「県は、障がいのある人やその家族にとって深刻な問題である親亡き後の障がい者の自立や、性・恋愛・結婚・出産・子育て、防災対策などに関して、県民とともに思慮し、市町村や関係機関と連携して、各課題に起因する生きづらさの解消に努めることにより、誰もが安心して暮らせる大分県づくりを進めるものとする」  こうした規定に、担当者の苦心の跡がうかがえるのですが、これが絵に描いた餅に終わらないためにも、この条例の中核をなすものであることが理解できるように、もっと前の章に置くべきではないかと思います。  このような項目が法律や条例に規定されるのは、日本ではじめてのことであり、是非ともこの点は実現させたいところです。 4 第2章は、障がいのある人に対する差別の禁止についての規定です。  先ず、第8条に、障がいを理由とする差別について、不利益な取扱いをすることの外に、障がいがある人に必要とされる合理的配慮をしないことが含まれることを明らかにしており、第9条から第16条までに福祉、医療、雇用、教育、不動産取引等の分野ごとに不利益取扱いの禁止についての規定が置かれています。  こうした規定は、熊本県条例等の既存の条例のやり方と同じですが、私たち「つくる会」の素案の実体規定の章と対比してみますと、分野毎に必要とされる合理的配慮についての項目が全くありません。  第8条があるから必要ないという解釈も成り立つとは思いますが、合理的配慮という言葉自体は、抽象的すぎて、各分野毎に、どういうことをしなければならないのかを示さなければ具体的な行動指針にはならないと思います。 2 第3章は、差別をなくすための取組みに関する規定で、私たちの素案の中の「障がいがある人の権利委員会」についての規定がありませんが、特に大きな問題はないように感じられます。 2面 見出し 私の思い 「障がい者本人・家族と協働・連携を」 藤内 浩 本文  私は障がい者の家族です。その家族の立場で県作成の条例素案についての要望と希望について述べたいと思います。第1に条例の名称が「大分県障がい者の差別解消を図るための条例」とありますが、このような名称で良いのでしょうか。私は障がい者の差別の解消、差別の禁止だけを求めて条例づくりにかかわったわけではありません。障がい者本人と家族が暮らしやすい地域や大分県をつくりたいと思い、条例づくりにかかわったのです。名称を再考する必要があると思います。第2に各障がい者の家族支援の条項、第3に大分県が後進県である精神科救急医療体制の構築の条項、第4に全国的にみても遅れていますが、精神障がい者も身体・知的障がい者同様に交通運賃割引制度の適用の条項を条例にぜひ盛り込んでいただきたいと思います。当条例の制定施行後も、県が障がい者本人・家族の声を聴きながら協働・連携していけば素晴らしい大分県になると思います。 見出し 私の思い 「県民に伝わる“生の声”を入れて」 宮西君代 本文  私個人の意見として、大分県の条例素案について少し述べたいと思います。素案を目にした時、「やっぱり、行政らしく、簡潔によくまとめられているなー」と思いました。しかし、体裁にこだわらず大分県独自のものが作られて欲しいと思います。まず、名称からして「大分県障がい者の差別解消を図るための条例」となっています。確かにわかりやすいでしょう。私たちも「だれも」についてさんざん論議し、障がいのある人の問題は、障害のある人だけの問題ではなく、県民一人一人の問題として捉え、「社会モデル」の考え方に基づいて作りました。私は、この条例を作る会に参加するようになって、「障害者」「健常者」という言葉にすごく違和感を感じるようになりました。名称を「だれもが安心して暮らせる大分県条例」に戻してほしいと思います。  前文では私たちがなぜこの条例を作ろうとしたか?を。私たちの生の声で伝えて県民にわかりやすく周知されるよう、全国初の独自性のあるものとしましたが、残念ながら、『生の声』は一言も入らず、格式高く、簡潔にまとめられている大分県の素案に虚しさを覚えました。条例に書き込めない『生の声』を私たちは大事にしてきました。1200名を超えるアンゲートで寄せられた悲痛な声、そして、県南、県北と出向いて行って勇気を振り絞って語っていただいた方々の顔が忘れられません。『生命』『存在価値』などに絞って生の声をまとめたものです。せめて「この子を残して死ねない、この子より1日でもいいから永く生きたい」という多数の親の声はショッキングですが是非こういう生の声を前文で反映してもいいのではないかと思います。  私が一番に問いたいのは、大分県の素案で「自立」の定義がなされていないのはなぜか?という点です。きちんと『自立』を自らの意思で選択し、そのための支援を受けることは当然の権利であると定めなければ、親亡き後の問題も何も解決されないと思います。これから、条例検討委員会でそこのところの活発な論議を期待し、是非、大分県独自の特色ある条例になることを切に願います。 見出し 条例をつくる会第4回総会にご参加ください 日時 5月17日(日)13時30分から 場所 大分県自治労会館(県庁裏) 内容 県の「条例素案」の検討 他 3面 見出し 私たちの条例に必要なこと 県の条例素案を読んで 平野 亙 小見出し 県民の理解を大切に 「社会モデル」・合理的配慮の理解が不可欠 本文  私たちが求める条例は、「障がい者」とよばれる人だけの条例ではありません。自身の障がいに気づかないまま、社会の中で生きづらさを抱えている人は大勢います。そもそも人はみな、その人なりの生きづらさを抱えていますが、生きづらさを最も強く引き受けてきたのが、障がい者とその家族です。障がい者が安心して暮らせるには、この大分県が、すべての人が暮らしやすい社会になる必要があり、条例は、そのような大分県の実現をめざすものでなければなりません。そのために必要なことは、障害者権利条約の根本理念である障がいの「社会モデル」を社会の基本的な枠組みに組み込むことであり、県民の理解、とくに障がい者の自立や合理的配慮の理解を浸透させることです。 小見出し 前文に「生の声」を 条例の意義を示す現実を伝える必要 本文  そのような社会を築くための条例であれば、何よりもまず、多くの県民が条例制定を願うに至った契機としての生の声を、前文に反映する必要があると考えます。特に、障がいのある子が生まれた時に祝福されないという重い現実、わかりにくい障がいゆえに周囲に理解されない苦痛、多くの母親が「障がいのあるわが子より一日だけ長く生きたい」と願うという悲痛な現実は、条例の存在意義を示すために、何らかの形で前文に表現されるべきです。 小見出し 支援前提の「自立」明記を 重要な「意思決定の支援」 本文  これまで障がい者を苦しめてきたものの一つが、「人の助けを借りず一人でできること」という狭く偏った自立概念です。「社会モデル」の根底にあるのは、人はだれでも社会から支えられて自分らしく生きる権利があるという人権概念です。社会の支援を前提として自分らしく生きるという意味での自立概念を、理念規定に明記する必要があります。自立概念の正しい理解は、これまで私たちがあまり議論をしてこなかった「意思決定の支援」にも関わる非常に重要な課題なのです。 小見出し 「合理的配慮」の具体化を 差別の禁止だけでなく 本文  条例素案の名称(仮)に差別解消の語があるように、条例案の大きな部分を差別禁止規定が占めています。そのうち第8条第2項で合理的配慮についての規定がおこなわれており、合理的配慮を欠くことが,差別になるという趣旨が明らかにはされています。しかしながらそれに続く第9条から第16条までの具体的規定が不利益取扱いの禁止のみを取上げ、合理的配慮の必要性について何ら触れられていないのは均衡を欠くことになります。もし分野別に差別の規定を行うのであれば、第9条以下の各条でも、合理的配慮に関する規定が不可欠です。中でも特に、第10条の医療、第12条の雇用、第13条の教育については、合理的配慮に関する具体的な事項を規定すべきだと考えます。 小見出し 優れた「第4章」を中心に 「地域福祉の推進」とともに充実を 本文  県の示した条例素案の最も優れた部分は、第4章です。とくに第27条には、私たちがこれまで議論し条例案に込めてきた思いや考えが要約されています。だからこそ、この条文は条例全体の中心となるべきです。条文の位置を「差別解消を図るための施策」の前に置き、「地域福祉の推進」という条文を加えて充実させる必要があると考えます。 4面 見出し 県との意見交換会に参加して 「他県に見られない特徴」を直接訴える 廣野 俊輔 本文  1月22日、私たち条例をつくる会と大分障がい福祉課との2回目の話し合いに参加させていただきました。つくる会からは,改めてこの誰もが安心して暮らせる大分県条例に込めた他の県には見られない特徴について,メンバーが直接訴えました。大きくまとめると4つの論点があったと思います。 小見出し 「親なきあと」 「精神科救急医療が不可欠」 「最後のご褒美に安心して死んでいけるように」 本文  1つ目は,川口さんや安部さんが声を上げられた親亡き後のことです。川口さんは自分の体験をもとにして,精神科救急の問題を提起されていました。「頑張った最後のご褒美として安心して死んでいけるようにしてほしい」という安部さんの言葉に,その切実さが強く感じられました。そして,それを「ご褒美」と表現せずにはいられない現状の厳しさを改めて突き付けられた気持ちがしました。 小見出し 性・恋愛・結婚・出産・子育て 「女性である前に障がい者」 「障がいがあっても幸せ」 本文 2つ目は千住さんを中心に提起された性・恋愛・結婚・出産・子育てについてです。「これまで女性である前に障害者として扱われていた」という言葉から始まる問題提起に改めてこの問題の重要さを感じました。また,意見交換では医療技術が発展する中で,障害をもつ子を産まない選択が増えていくかもしれないが,大変なこともあるが私は幸せであると伝えたいとおっしゃる姿がとても印象的でした。 小見出し 防災 「人前でトイレ」 「避難所に行けない人も」 本文 3つ目は防災についてです。湯澤さん、首藤さんからそれぞれ,視覚障害者としての意見や別府市での取り組みが紹介され,その重要性が確認されたと思います。特に湯澤さんからやむを得なくて人前でトイレをするといった状況があると聞いた時には,私自身も非常に驚きました。また,平野さんから自閉症協会の調査が紹介され,自閉症の人がまったく避難所にたどりつけない現状が示されました。これも非常にショッキングなことでした。 小見出し 地域福祉 「助け合いの文化を」 「1人1人が自分にできることを」 本文 4つ目は地域福祉についてです。阿部さんから,防災とも関連しますが、地域のボランティア,助け合いの文化や風土の重要性が提起されました。以前の取り組みである「まちかどボランティア」の実践から,1人1人が自分にできることで助け合うことで,社会モデルの視点に立った社会が初めて実現するのだと強く感じさせられる話でした。そして,改めて私達の条例案に「だれもが」を使っている意味が説明されました。私なりに整理すると,だれもが障がいをもち得るのだということと,だれもが助け合っていこうという2つの意味があるのではないかと感じました。  こうした話のあと,障がい福祉課長から個人としての意見と断った上ではありましたが,それぞれに回答がありました。必ずしも私たちの意見に同意というわけにもいきませんでしたが,熱心に私達の話を聞いてもらったと言えると思います。これからも粘り強く働きかけていく必要があると思います。 5面 見出し 動き始めた別府市条例 一歩ずつ進む市民と市の“協働” 防災−障がいごとの課題を明らかに 本文  昨年4月に条例を制定した別府市では、市民参加による新たな取り組みが始まっています。「親なきあと」委員会の設置、障がい当事者講師の派遣事業、市民との共同事業−。市民からの働きかけ西が応じて行われた障がい者や高齢者などの“災害時要支援者”の防災への取り組みも条例制定の成果の一つです。昨年7月から、市民団体の取り組みに市が協力する形で、3回の講演会と6回の障がい別聴き取り研修、そして検討会と報告会(シンポジウム)が行われました。  別府市条例では、障がいがある人への差別をなくすために、「差別及び虐待の禁止」、「相互理解の促進」とともに、「合理的配慮」という節を設け、生活支援に関する合理的配慮について規定しています。  そのなかに「防災に関する合理的配慮」という項目があり、「第12条 市は、障害のある人に対する災害時の安全を確保するため、防災に関する計画を策定するに当たっては、障害のある人にとって必要とされる配慮に努めるものとする。 3 市は、障害のある人及びその家族が災害時に被る被害を最小限にとどめるため、災害が生じた際に障害のある人にとって必要とされる援護の内容を具体的に定め、その整備を継続的に行うよう努めるものとする。」と明記しています。  「全国でも初めて」と言われる今回の障がい別の防災研修事業は、主催した福祉フォーラムin別杵速見実行委員会から、「この条例ができたことによって市民と行政による『協働』の事業として大きな成果を上げることができた」という声が上がっています。 小見出し 講演会の紹介 本文 第1回講演会 7月27日・別府市社会福祉会館 大分県の災害を知る 京都大学大学院教授 竹村惠二氏 第2回講演会 9月7日・別府市役所 東日本大震災での避難所調査から IIHOE【人と組織と地球のための国際研究所】代表 川北秀人 氏 第3回講演会12月20日・別府市役所 被災地の現状から、どう備えるか 講師 NPO法人さくらネット 代表 石井布紀子 氏 6面 見出し 障がい別研修会で明らかになった具体的な課題(一覧表) 知的障がい │本人 │パニックになる。1人で伝達、行動ができない。判断できない。 │周りの人│知っている人にしか気持ちを伝えられない。地域に頼れない。 │移動 │1人で行動できない。初めての場所には不安があり動かない。 │避難所 │避難所で過ごすのが無理。集団生活が無理。個別、家族単位での空間もしくは自宅。生活支援システム。慣れた人がいる慣れた場所に避難できれば助かる。 │訓練 │訓練で動くようになった。 視覚障がい │本人 │遠くに移動できない。避難しない方が安全。 │介助者 │家族や仲間と一緒に避難したい。盲導犬と一緒にいられない。 │周りの人│まわりの人が知らない。高齢者ばかりで頼めない。相談支援品の配置。 │情報 │初めての場所、配布物、モノの使用方法など、すべてに情報提供が必要。笛の準備。ある程度自分の情報を渡さないと支援できない。 │移動 │誘導してくれる人が必要。場所が把握できない。 │避難所 │避難場所が把握できない。トイレなどが困難。 │訓練 │参加するにも支援者が必要。 聴覚障がい │本人 │夜は気が付かない。火災報知器・ガス検知器など音ではわからない。 │周りの人│家の周りの人にお願いしたら「わからない」と言った。地域の話し合いは内容を理解できない。人と関係づくりが難しい。聞こえる人は誰がろうあ者かわからない。 │情報 │字幕付き映像、手話、要約筆記、筆談、絵カード、掲示物、アイドラゴン(聴覚障害者用情報受信装置)。ハザードマップがわかりにくい。 │避難所 │声が頼りなので仲間と一緒が良い。視覚表示(パネル・張り紙等)が必要。手話通訳がいるといい。 │備品 │危険等を知らせる機器が重要(光、臭い、メール、ファックス、筆談用具等) │訓練 │訓練の連絡がない。避難訓練をしていない。訓練したことがあるが、手話通訳がいなかった。 │ 精神障がい │本人 │パニックになり、落ち着いて行動できるか不安。薬が確保できるか。 │介助者 │夜間は人手も少なく、就寝薬も服用しているので事故が心配。職員も家族も被災者になる。 │ │2次避難所になっているので受け入れ体制が必要になる。 │周りの人│周囲との人間関係をつくることが重要。医療、保健、福祉、介護の連携が必要。 │情報 │防災パンフを作成中(東部保健所) │移動 │避難所に行けない人の支援。 │避難所 │避難所で過ごせない人への対応。 │備品 │薬の確保(大分は薬剤師会が移動車で対応)。電源や電話などが不安。 │訓練 │福祉事業所が実施。 身体障がい(肢体不自由) │本人 │車いすにスムーズに乗れるか不安。ベッドの上ではどうしようもない。選択肢が少ない。 │介助者 │日中は介助者がいるけど、深夜は? │周りの人│何かあったら声かけをお願いしている。介助の仕方を知ってもらいたい。 │情報 │ネットワークは強み。考えを共有していくために勉強会が必要。 │移動 │車いす、電動車いす。道路状態では厳しい。エレベーターが止まっていたら無理。 │避難所 │避難しても避難生活はできるのか。自宅にいた方がいいのでは。地域の小学校などの避難訓練に参加するのもいいのでは。 │ │備品 │電動車いすのバッテリー。避難グッズを持っていけるのか? 7面 見出し 別府市 条例制定後の取り組みは? 本文  別府市は昨年4月の条例施行以降、防災以外にも様々な取り組みを行っています。 ・当事者による講師団を結成し、啓発活動を行う。 ・市民活動団体と協働して障がいに対する理解を促進。 ・管理職を対象に研修を実施。 ・道徳や特別活動、総合的な学習の時間等で、障がいに対する理解を深める教育を実施。 ・親亡き後等の問題解決策検討委員会で解決策を模索。 等々 小見出し ●当事者・家族による講師団の活躍 本文  昨年4月、条例施行に合わせて障がいがある人8名と家族2名を講師とする「障がいに対する理解を深める研修・啓発活動講師団」を設置し、積極的に研修会を行っています。  昨年12月15日には、部長級、次長級、課長級の26名を対象に職員研修を行いました。障がいがある当事者2名の講演を聞いたあと、アイマスクと車いすを使った体験、Q&A形式による合理的配慮の考え方の演習を行いました。 小見出し ●「親亡き後等の問題解決策検討委員会」の設置・開催 本文  障がい当事者、家族や自治委員、民生委員を含むメンバーで昨年6月30日に発足。これまで5回の会議を開催しています。資料や議事録はすべて別府市ホームページで公開されており、誰でも読むことができます。 ・障がいのある本人がどのように生きていきたいのか」というのが根本だと思う。 ・知的障がいのある人に対して、高齢者のような支援を行えば、障がいのある人の保護者に「私が頑張らなくても地域で見てくれるんだな」という安心感を与えられるのではないか。 ・「助けてください」という声が上がったときに、地域社会がどのような支えをすればよいのか。そういう支えるシステムがあるとよいと思う。 ・今後、親が高齢化して面倒が見れなくなるということを考えると、どこか違うところで暮らしてほしいという気持ちがある。何らかの施設に入るとしても、そこに子どもの気持ちをわかってくれる私に代わる人がいるのかという不安と子どもが死ぬまでそこに居続けられるのかという不安がある。そこは社会が支えていかなければならないと思う。 ・親に代わる担い手というのは、人材をいかにして育てていくかということ。ひとりの人では難しいため、障がいのある人を支援する人が複数いて、様々な方面から障がいのある人を支えることが求められるのではないか。(平成26年12月17日 第4回会議議事録より) 8面 言わせちょくれ 第14回 見出し 「この指とまれ」 別府市 徳田靖之 私の父は、太平洋戦争で死亡した。陸軍兵卒として、中国大陸、シンガポール、マレー半島と転戦し、現地で結核を患って送還され、1946年11月に他界した。35才だった。当時2才にすぎなかった私には、父の記憶は全くない。小さな材木屋の婿養子だった父は、「兵隊」あるいは「軍人」といったイメージとは程遠い人だったようだ。 父の形見として私に残された遺品は、モーパッサンの「女の一生」とミッチェルの「風とともに去りぬ」だった。戦時下にこのような「敵国文学」を愛読していた父を私はこのうえなく好きだ。 父が死亡して間もなく私は結核を発病し、死線をさまよった。父は、医師や看護師の目を盗んで私を抱き続けていたという。その結果の発病だった。  今も私の肺には、石灰化したその残像がのこり、健康診断のたびに精密検査を余儀なくされている。でも、私には、そうした「意思の弱い」父がとても好ましい。 父は、26才の母と2才の私を残して旅立つことが無念だったのだ。その切なさに耐えかねて私を抱き続けていたのだ。私は父からこのうえなく愛されていたのだと心底そう思う。 だから、私は憲法9条をこうした父たちの生命の結晶だと思ってきた。 そんな私にとって、昨今の日本政府の動きには、重大な危機感を抱かざるをえない。憲法改正が具体的な日程に挙がってきたからだ。 こうした動きを積極的に進めようとする政治家たちには、私の父のような多くの名もない犠牲の意味が全く理解されていないと感じられて仕方がない。 もともと政治的な発言や行動には消極的で距離を置き続けた私だが、憲法にまで手がつけられるという状況にあって、何もしないでいることは、父の子として許されることではない。 何をすればいいのか具体的に詰められている訳ではないが、父の無念の思いを繰り返し繰り返し確認しながら、自分なりの憲法を守る運動を始めていきたいと願っている。 小さな動きにしかならないかも知れないが、同じような思いを抱えている人たちへ  この指とまれ! と呼びかけたい。 以上